◆開催日: 2011年11月14日(月)
◆タイトル: オーストラリア移民法について
~基礎と制度・永住ビザの傾向について~
◆講 師: 足利 弥生
AOM Visa Consulting代表
元・オーストラリア大使館査証担当官
◆サマリ
「オーストラリアの移民政策の最大の特徴はまず第一に国益を優先することだ。経済効果を最大限得るために、人が集まりにくい地方やなり手が少ない専門職に移民が集まるよう、人口と労働市場の統計を取り、反映、修正をして移民政策は考えられる。
例えば教育産業はオーストラリアにとって第3位の産業であり、留学生受入は外貨獲得の重要な手段である。そこで留学生のこどもが18歳未満だと片親も面倒を見るために同行できるというガーディアンビザを2000年前半に構築した。
ワーキングホリデービザは通常どの国でも1年であるが、オーストラリアでは季節労働などオーストラリア人や永住者があまり就かない仕事、繁忙期に必要となる労働をした証明があれば2年間滞在でき、労働力の調整に使われている。
また、高度なスキルを要する職業、特定地域で不足している職業については統計により不足職業を把握し、州政府がスポンサーとなる。その州に住むことを申請人は確約することで条件は緩和される。
ETAというネットでビザを申請できるシステムも1996年世界で初めて導入。ビザ発給もどんどん簡素化され、直接パスポートに貼付せず、ビザ保持者はいつでもシステムからビザ期限の確認ができるようになっている。
人口政策・労働市場・過去の移民受入の統計・分析から移民法は3ヶ月ごとに見直され、3ヵ月毎に申請用紙の変更や法改正など必ず変更がある。国が必要としているビザクラスは条件を緩和し、審査機関も早くするなど、国益となることが最大の目標となっている。」
オーストラリアの合理性は今後の日本の移民政策を考える上で非常に参考になると思った。日本の移民政策も国益を目的とすると、迷うことなくシンプルに政策を積み上げていけるのではないかと思う。
【本セミナー報告】
本セミナーにご参加頂いた中村和夫先生に、先生のブログで講義内容の感想を頂戴しました。
オーストラリアの永住ビザに於けるポイント制度と、アメリカのESTAの原型とされているインターネットによるビザ申請システムETAを中心に、日本との比較も含めて講義内容をご紹介を頂いております。
中村先生いつもありがとうございます!懇親会のオーストラリアワインも楽しんで頂けた様で何よりでした☆
→中村和夫先生のご感想
*中村先生のブログには、入管に関する貴重な情報やご意見がたくさんおありです。皆様、ぜひ一度ご覧にになってください。*